本事業は、市有地を事業者が借り受けて、図書館などの公共施設および、事業者が提案する民間施設を整備し、公共施設を市に賃借する事業スキームにより官民連携の公共施設整備を行うものです。恵庭市が求める本事業の基本理念として、都市計画の観点から、①公共施設と民間施設との複合化によるにぎわいの創出、②公共施設の集約化による公共施設マネジメントの実施が挙げられています。また「恵庭地区まちづくり市民委員会」の提言には、「サードプレイス=自宅でもなく、学校や会社でもない第三の自分の居場所」が掲げられています。そこで、本事業に求められているものは、多世代が心地よく過ごせる場所を図書館を軸に公民連携でつくること、縦割りで計画される行政施設を横断的に効率よく利用できる施設として提案すること、であると捉えました。
当初、複合の核となるテナントを検討をしていたところ、本事業の規模やマーケット、立地などの観点から実現が厳しいことが判明し、その直後、とあるビルの中を歩いていたところ、長蛇の列に出会います。列の大半が高齢者で地元のリピーターであるその施設は、フィットネスクラブでした。クラブ活動的に仲間を増やすことができ、健康のために汗を流した後、本を立ち読みしたり、カフェでお茶をするという時間。これこそサードプレイスなのではないか、との着想を得て、本事業で整備する公共施設は、図書館の他に学童保育・保健センター・市民活動センター・夜間・休日急病診療所があり、スポーツ系施設は学童の習い事や保健センターが担う市民の健康サポート等、公共機能との相性が良いことにも気が付きました。早速、複数の企業に打診し、パートナーとなって頂き、次に、サードプレイスに重要なカフェ機能も、北海道ご当地コンビニが参画して頂くことが可能に。さらに、図書館がサードプレイスとなるように、「温室図書館」「ガリ勉天国」「絵本ハウス」など、大空間の中に居心地の良い小さな空間を盛り込んでいます。
公共施設を集約し効率的に運用するために、定期健診や学童保育など使用時間の限られた部屋や通路を、様々なイベントや会合など部署を超えた共同利用ができるように計画しました。日々様々な場面転換が行われることは、施設全体に活気をもたらすことにもつながっています。